株を始めるために証券口座を開設した初心者がまず悩むのが銘柄選び。これから株価が上昇する企業や、元本割れをせず安定して配当をもらえる企業をみなさん探したいですよね。本記事では、そんな初心者の人に向けて、銘柄選びに欠かせない指標を5つ紹介します。指標を理解することでいい銘柄選びができる可能性がグッと高まるはずです。
時価総額(企業の価値)
時価総額=その時の株価×発行株数で表される指標です。
株価が高かったり、発行株数が多いと時価総額が高くなります。株をやり始めた頃は何も知らず、株価が高い企業が大きな会社だと思い込んでいました。。企業によって発行株数が異なるため、株価だけでは単純に企業の大小は判断できません。私は野球が好きなので、簡単な例をスポーツメーカーの大手で比較してみます。すると下表のようになります。
2020/10/6時点 | 株価 | 発行株数 | 時価総額 |
ミズノ | 1949円 | 26578千株 | 505億円 |
アシックス | 1505円 | 189870千株 | 2779億円 |
株価だけで比較すると、ミズノの方が大きい会社なんだ、と思ってしまいそうですが、発行株数はアシックスはミズノの約7倍ほどあり、時価総額ではミズノの5倍以上となっています。時価総額まで見るとアシックスの方が規模が大きい会社だということがわかります。
時価総額が大きい会社は安定 小さい会社は伸び代あり
時価総額が大きいと規模が大きい会社なんだと言うことはなんとなくわかると思います。そのほかにも、信用性が高いのでお金を調達しやすかったり、会社の価値が高いので買収されにくいといった特徴があります。反対に、時価総額が低い企業は逆のことが考えられるため、少しリスクが高くなります。簡単にいうと、時価総額が高い企業よりも会社の価値が0になる可能性が高いが、これからの伸び代があるとも考えられます。ではどれだけの時価総額があれば安定企業なのか、というところですが、ざっくりイメージを下表にまとめています。
時価総額 | 企業規模 | 投資スタンス |
1兆円以上 | 超大企業 | 超安定 |
1000億円以上 | 大企業 | 安定 |
100億以上 | 中小企業 | 成長 |
100億以下 | ベンチャー | 伸び代大 |
各個人の投資スタンスによって時価総額の大きさも確認しておきましょう。
PER(企業の稼ぐ力)
PERは企業がどれだけ稼ぐ力があるのかを示す指標になります。
PER=時価総額÷当期純利益
上記の式で表すことができ、時価総額が純利益の何倍あるのか?ということを示しています。純利益が高いほど、時価総額が低いほどPERは小さくなります。一般的に低いほど良いとされており、目安としては15倍以下であれば収益率の高い会社で安定しているといえます。ただ、これからの企業であればPERは100くらいはいってしまいますが、これは市場の期待の表れとも取れます。つまり、まだしっかりと利益がとれる企業にはなっていないものの、これからの成長性を見込まれて株価が高くなることでPERが高くなるパターンです。とはいっても、安く買って高く売ることで利益を出すのが株式投資なので、初心者の方であれば、PERが低い企業、割安な銘柄を選ぶのがオススメです。
PBR(企業の資産体力)
企業の資産がどのくらいあるのかを示した指標です。
PBR=時価総額÷純資産
上記で表すことができます。
(ちなみに純資産=総資産-負債で求めることができます。総資産というのはお金、株、債券、不動産などで、負債というのは銀行からの借り入れです。)
つまり、PBRも低ければ低いほど、資産のある企業で安定しているといえます。ただ、この指標に関しては、各業界で基準が異なります。土地や設備等が必要な製造業もあれば、パソコンだけで成り立つIT企業等、業界によって総資産にかなり差があります。ですので一概にPBRの値だけでは業界の異なる企業を比較することはできません。PBRは、同じ業界の企業をくらべる際に、どれだけ低いのか確認しましょう。
EPS(成長性)
一株あたりの会社の利益のことです。
EPS=純利益÷発行株数
上記の式で表すことができます。利益が高いほど、発行株数が少ないほどEPSは高くなります。
例)純利益:100万円 発行株数10000株 EPS=100万÷10000=100円
このEPSが高いほど企業も利益が出ているということなので、銘柄選びの際には、EPSが右肩上がりかどうかを確認しましょう。
配当と配当性向について
基本的に企業は株主のものです。なので利益も、株主のものなので、その企業の株主であれば、企業から株主へ利益からいくらか配当として配当金をもらえます。EPS分の配当が欲しいところですが、そうしてしまうと企業は成り立ちません。さらに企業を大きくするための設備投資だったり、予期せぬ出来事への備えだったり、会社にも投資をしなければいけません。ですので、下記のように、利益の中から会社に投資する分と配当として投資家に配られる分に分けられます。
EPS=(社内留保)会社の事業投資に使う分+(配当金)株主に現金で還元する分
上記のEPSのうち、配当金がどれくらいの割合であるかを示すのが配当性向となります。式で示すと下記になります。
配当性向=配当金÷EPS×100
配当性向は高いと嬉しいですが、高ければ良いと言うものでもありません。高すぎると研究開発や人材確保などができず、今後、事業拡大が見込めないというケースもあります。逆に低くても、利益が出ており、事業投資に資金を回しているケースもあるので、一概に悪い企業ともいえません。高すぎず、低すぎず、40%くらいが適正なので配当性向もしっかり確認しましょう。
自己資本比率(安全性)
全ての資産のうち、どのくらいの割合で企業自身に資産があるのかを表す指標です。
自己資本比率=自己資本÷総資産×100
会社の全ての資産は自己資本と負債(銀行等から借りているお金等)に分けることができます。自己資本比率は企業に返済が不要な資産がどのくらいあるのかが分かるので、企業の安全性をみる指標になります。総資産が多くても、借金が多ければ、安全な会社とはいえませんよね。一般的に自己資本比率は50%を越えると高く、20%〜50%あれば普通といわれています。
自己資本比率は高すぎても低すぎても注意 内訳を要確認
高ければ高いほどいいのでは?と思うかもしれませんが、そうでもありません。自己資本比率が高くても、現金がない場合には注意が必要です。現金が少なく、長期の貸付金等が多い場合には、すぐに現金化できないため、資金が必要になった際には、結果として借入をする必要が出てきます。自己資本の内訳も確認しましょう。
逆に、自己資本比率が少なすぎる場合はどうでしょうか?やはり、少なすぎると注意が必要になりますが、内訳を確認し、短期の借入金が多い場合には、翌期には返済するので自己資本比率が高くなるとも予想できます。このような場合はそれほど問題視する必要はありません。
どちらにせよ、自己資本比率を確認するならその内訳もチェックしておきましょう。
さいごに
今回、ご紹介した指標は、たくさんある指標のうちでもかなり重要な指標ばかりです。この5つをおさえて銘柄選びをしつつ、さらに色々なもの勉強してみてください。株は自己責任なので自分で学んで選ぶ力を磨きましょう。
コメント